花粉症の点鼻薬 フルナーゼのまとめ

フルナーゼは花粉症のステロイド点鼻薬(処方薬)の一つ。花粉症の症状が重い場合に、飲み薬
であるアレグラ、ザイザル等の第二世代抗ヒスタミン薬と併用して使われることが多い薬。

フルナーゼに関する主な情報

1日薬価:108.4円(1日2回各鼻腔に1噴射づつ) 薬価サーチより
一般名:フルチカゾンプロピオン酸エステル
製造メーカー:グラクソ・スミスクライン株式会社
フルナーゼに関する一次情報(添付文書) (独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
フルナーゼのインタビューフォーム(詳細情報、PDF)

飲み薬のステロイドとは異なり、体内でのステロイド生成機能を退化させてしまう等の副作用は
少ないと言われている。他のアラミスト、ナゾネックス等のステロイド点鼻薬との違いとしては、
効果自体はそれらと差はないが、1日2回の点鼻が必要なのと、独特の匂いがあるため、最近は
他の薬剤の処方にシフトしている傾向にある。ただし、他の薬剤と異なり、ジェネリックが存在するため、
安く済ませたい場合はこの薬を選択するという判断もあるかと。

フルナーゼとベクロメタゾン、ナゾネックス、アラミスト、エリザス等他のステロイド点鼻薬との比較

他のステロイド点鼻薬との比較に関しては、 薬の詳細情報が記載されているインタビューフォーム、
海外の治験に関する文献など出来る限り確認をしたが、いずれの文献においても鼻症状スコア
というくしゃみ回数、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみの4項目の度合いで評価を行う方法にて有意な
差は確認されていない。つまりどれを使っても体感上の差はないと認識で問題ない。この辺、
詳しく文献を確認したい方は、私がまとめた下記記事を参照すると良い。
花粉症の薬、ステロイド点鼻薬の強さ・特徴比較まとめ

ただし、薬の効きは個人差があるので、下記の方のように「個人的に」どの薬のほうが相性が良い
と言うのはあるので、薬の効きが悪ければ別の薬を試してみる価値はあるだろう。あくまで「統計的」
には薬の効果の差は確認されていない。
点鼻薬で良いのは、エリザス>ナゾネックス>アラミスト>フルナーゼ

Nasal Steroid Sprays for Allergies(英語記事)
ダメ押しになるがこの記事も。医学博士の方がステロイド点鼻薬の比較をしている記事。
ステロイド点鼻薬による効果の比較を行った研究では、差は示されていないとのこと。

ちなみに薬理上は各薬剤の間に差が確認されていたりはする。 例えばフルナーゼの成分は
ベクロメタゾン(ナザールAR等市販のステロイド点鼻薬でよく使われている成分)と比べて1.9倍の
ヒト血管収縮作用があり、アラミストはフルナーゼよりもグルココルチコイド受容体への親和性が
1.7倍あるなど(それぞれのインタビューフォームに記載あり)。また、アラミストのインタビューフォーム
によると、フルナーゼは効果発現に2日かかるのに対し、アラミストは1日で効果が発現するとの
ことで、アラミストのほうが速く効くという結果は出ている。

薬局の薬「アラミスト点鼻液27.5μgの使用感。フルナーゼとの比較」
アラミストとフルナーゼの使用感などの比較を行っている。
使用感としてはアラミストは刺激が少なく、噴射後の液だれもないとのこと。

日経メディカル「アラミスト:2剤目の1日1回型鼻噴霧用ステロイド薬」
アラミストの説明ではあるが、フルナーゼという薬の立ち位置がわかるので参考までに。
鼻噴射用ステロイドは、以前は1日2回のベクロメタゾンプロピオン酸エステル(処方薬の
リノコートパウダースプレーや市販薬のナザールARなど)とフルチカゾンプロピオン酸エステル
(フルナーゼ)の2剤だったが、今後はアラミストやナゾネックスなど1日1回タイプのものになって
いくとのこと。

グラクソ・スミスクライン株式会社「薬の使い方 アラミスト」
フルナーゼ、アラミストの販売元、グラクソ・スミスクライン社による患者向け薬の説明文書。
フルナーゼとの比較に関する記載としては、アラミストは1日1回でよいことと、フルナーゼの
ような特有の匂いがないことを挙げている。ちなみにアラミストは目にも効くのだが、
その理由はわかっていないようだ。

治験審査委員会議事録(PDF)
議題は別の花粉症点鼻薬であるナゾネックスに関してだが、フルナーゼとの比較にも言及を
している。ナゾネックスは1日1回投与なのと(フルナーゼは1日2回)、絶対バイオアベイラビリディ
が少ないということで血液への取り込みが少ないというメリットがあるとのこと。また、フルナーゼ
自体も同じグラクソ・スミスクライン社が開発したアラミストという薬にシフトしつつあるとのこと。

薬剤師4コマ劇場R2「点鼻薬比較①」
主に1日1回タイプの点鼻薬の比較記事で、ナゾネックス、アラミストの話題が主体。
この薬剤師の方によると、ナゾネックスは一番使われている薬とのこと。ステロイド剤は
血管収縮剤と比較すると効きが遅いので、患者からの評価が低いとのこと。

このように、効果自体はフルナーゼもナゾネックス、アラミスト等も差がないにも関わらず、
独特の匂いがない、1日1回でよいなどの使いやすさを理由に、最近ではナゾネックスやアラミスト
に処方がシフトしているというのが現状のようである。ただし、上の方でも書いたが、これらの薬は
ジェネリックがないので、安い薬で済ませたい場合は、フルナーゼのジェネリックのフルチカゾンを
使うという選択肢もある。

その他フルナーゼに関するネット上の話題


お薬通信No.17「上手に使おう点鼻薬」(PDF)
上尾中央総合病院が出している花粉症で使われる点鼻薬の分類解説。
鼻粘膜の充血を抑えて鼻づまりを一時的に改善する血管収縮薬(作用発現3~5時間)、
粘膜の炎症を抑えるステロイド薬(作用発現1~2日)、
アレルギー反応を抑える抗ヒスタミン薬(作用発現1週間)
の3種類があるとのこと。 作用発現が一番速い(効果を実感しやすい)血管収縮薬に関しては、
使い続けると薬が効かなくなり、さらに症状が悪化するため、ステロイド剤がベストのようだ。
抗ヒスタミン薬のザジテンに関しては眠気を催すことがあるので注意が必要とのこと。

薬剤師ゆうの薬の話「花粉症・点鼻薬」
花粉症の点鼻薬に関して分類別にわかりやすくまとめている。点鼻薬は、
1.抗アレルギー性薬:リボスチン・ザジテン・ソルファ・ノスランなど
2.抗コリン薬:フルブロン
3.血管収縮薬:トーク・プリビナなど
4.ステロイド:アルデシン・フルナーゼなど
の4種類に分かれるとのこと。

自由が丘から世界へ発信「風邪には抗生剤よりステロイド配合鼻スプレーを」
ちょっと本筋から外れる話ではあるが、面白い記事だったので掲載。上記のブログ記事を
書いている自由が丘整形外科では、鼻風邪にフルナーゼなどのステロイドスプレーを処方
するらしい。理由は風邪の75%はウイルス性だから抗生物質を出しても意味が無いため。
考え方としてはたしかに合理性があるかも知れない。とはいえ個人的にはやっぱり日常的に
シュッシュする気にはなれないが。おそらく大半の医者も気持ち的にそうなのだろう。

OKWAVE「フルナーゼ(プロピオン酸フルチカゾン) 長期投与の安全性について」
喘息でフルタイドを使っている人の質問で、フルナーゼを長期で使ってもいいかとの質問。
薬剤師の方が回答している。いくら局所作用のステロイドとは言え長期使用するのは
どうなのよ?という回答。鼻粘膜の炎症を抑える人間本来の働きが弱まってしまうだろうと。
フルナーゼはフルタイドの2倍の臨床成績があるらしい。