花粉症の処方薬 クラリチンのまとめ

眠気が少ないといわれる第二世代抗ヒスタミン薬の一つ。
第二世代抗ヒスタミン薬は大雑把に分類すると、効果が高いが眠気も起きやすいものと、
効果はそこそこで眠気があまり起きないものの2つがあるが、クラリチンは後者のタイプ。
クラリチンとアレグラの2つに関しては、第二世代抗ヒスタミン薬の中でも眠気に関する
記載が薬の添付文書の「重要な基本的注意」に含まれていないほど眠気が少ないといわれる。
また、アレグラ等、他の主要な第二世代抗ヒスタミン薬と比較しても薬価が安いのも特徴。
妊婦に対する投与の安全性も他の第二世代抗ヒスタミン薬の中で一番高いとされている。

クラリチンに関する主な情報

1日薬価:99.4円(1日1錠) 薬価サーチより
一般名:ロラタジン
製造メーカー:MSD株式会社 (旧シェリング・プラウ株式会社)
クラリチンに関する一次情報 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

クラリチンに関しては、ネットを調べた限り主な関心は下記になる。
・クラリチンとアレグラ等他の第二世代抗ヒスタミン薬との違い
・クラリチン錠とクラリチンレディタブ錠の違いは何か?
・クラリチンの個人輸入に関して
・その他ネット上でのクラリチンに関する話題

クラリチンとアレグラ等他の第二世代抗ヒスタミン薬との違い

他の第二世代抗ヒスタミン薬の項目でも記載しているので、同じような内容の繰り返しに
なるのだが、アレグラとの比較で言うと、

・薬の効果に関しては同じくらいという評価(客観データが存在しないので医療関係者の印象)
・眠気の副作用に関しては双方同じくらいないと言われている
(薬の添付文書の「重要な基本的注意」に眠気の項目が含まれないのはこの2つの薬だけ)
・1日あたりの薬の値段はクラリチンが圧倒的に安い(クラリチン99.4円、アレグラ151.2円)
・薬の服用回数は、アレグラは1日2回、クラリチンは1日1回
(基本的には1日1回の方が飲み忘れが少なく優れていると言われるが2回が好きな人もいる)
・薬としてのシェアはアレグラのほうが上

と言ったところ。他の薬も含めたポジショニングということでいうと、特に関心の高い効果と眠気
の項目について複数の医師、薬剤師など医療関係者の意見を総合すると以下のようになる。

・効果(高い順)
-------------------------------
アレロック
ザイザル、ジルテック
タリオン、アレジオン
アレグラ、クラリチン
-------------------------------

・眠気(強い順)
-------------------------------
アレロック、ジルテック
ザイザル、タリオン、アレジオン
アレグラ、クラリチン
-------------------------------

薬に関しては、個人個人で相性があるので、アレロックで効かなかったり眠くならなかったり
する人もいる一方、クラリチンで効いたり眠くなったりする人もいるので、一概には言えない
ところ。ただ、複数の患者を診察したり、薬を投与して効果を確認している医師や薬剤師等
医療関係者の認識というのは参考になるところであろう。

■薬の効果に関する比較
効果に関して第二世代抗ヒスタミン薬の比較をまとめた記事は下記が参考になる。
耳鼻科医の診療日記「第2世代抗ヒスタミン薬の比較」
耳鼻科医の方が主な比較項目をわかりやすく表にしてまとめている。この人の評価によると、
効果が高い:アレロック、ザイザル、ジルテック
効果がマイルド:クラリチン、アレグラ、タリオン、アレジオン
眠気が少ない:アレグラ、アレジオン、クラリチン
眠気が強い:アレロック、ジルテック、タリオン、ザイザル
という評価。

新宿駅前クリニック「眠くならない花粉症治療薬」
アレルギー科のある病院の比較記事。
効果が高い:アレロック、ジルテック
効果がマイルド:クラリチン、アレグラ、アレジオン、エバステル
眠気が少ない:クラリチン、アレグラ、アレジオン、エバステル
眠気が強い:アレロック、ジルテック
という評価。

三代目院長の独り言「花粉症の兆し」
医師の方の自身の使用経験に基づくポジショニングマップ。
効果が高い:アレロック、ザイザル、ジルテック
効果がマイルド:クラリチン、アレグラ
眠気が少ない:クラリチン、アレグラ
眠気が強い:アレロック、ジルテック
という評価。タリオン、アレジオンに関しては効果も眠気も中間くらいという評価。

おねぇ系薬剤師の独り言「花粉症時のお作法~お薬編~」
薬剤師の方の服用経験による比較記事。
効果が高い:アレロック、ザイザル
効果がマイルド:クラリチン、アレグラ
眠気が少ない:クラリチン、アレグラ
眠気が強い:アレロック
この人はザイザルを推している。理由としては効果が高いにもかかわらず、アレロック
よりも眠気が少ないから。ちなみにザイザルというのは効果も眠気も強いとされる
ジルテックから眠気成分だけを取り去ったもの。比較的新しい薬だ。

元MR、現在は開局薬剤師「花粉症の薬はどれがオトクか?(内服編)」
こちらも薬剤師の方の服用経験による比較記事。
効果が高い:アレロック、ジルテック、クラリチン
効果がマイルド:アレグラ、エバステル
眠気が少ない:アレグラ、クラリチン
眠気が強い:アレロック、ジルテック
他の比較記事と比べて、クラリチンの効果に対する評価が高い。相性がよいのだろう。

なんくるないさぁ~「抗アレルギー薬(花粉症)を比較してみました。」
同じく薬剤師の方の比較記事。
効果が高い:アレロック、ザイザル、アレグラ、ジルテック、エバステル、アレジオン
効果がマイルド:クラリチン
眠気が少ない:クラリチン、アレグラ、アレジオン
眠気が強い:アレロック、ジルテック、エバステル、ザイザル
アレロックが効果・眠気ともに最強との評価。クラリチンに関しては効果も一番マイルドだが、
眠気も一番少ないとの評価。この人の判断では、効果が高く、眠気も少ないアレグラを
ファーストチョイスにして、効かなければアレロックに、眠気が出たらクラリチンにするという判断。

ヤフー知恵袋「アレロック、ザイザル、クラリチン、タリオン この中で効き目の強い順番は?」
質問サイトでのアレロック、ザイザル、クラリチン、タリオンの効果と眠気の順番についての質問。
きっちりとした回答はなされていないのだが、興味深かったのが、それぞれの薬の血中濃度が
最高に達するのがいつなのかという観点で即効性を比較している点。
アレロック(Tmax;1.0h)、タリオン(Tmax;1.2h)、ジルテック(Tmax;1.4h)、クラリチン(Tmax;1.6h)
の順で即効性が高いとの回答。この人のいうTmaxとは最高血中濃度到達時間のことを指す
ようだ。改めて、主な薬剤のTmaxを医薬品医療機器総合機構のページから調べてみると、

クラリチン 1.2h(空腹時)、1.6h(食後) ※どちらの基準で比較すべきかが不明
アレグラ 2.2h
アレロック 1.0h
ジルテック 1.44h
タリオン 1.2h
アレジオン 1.9h

クラリチンのみ空腹時と食後の比較データがあり、他の薬剤がどちらの基準で実験をしているの
かがわからないので、どちらで比較すればよいのかが不明なのだが、質問サイトの回答者と
同様、食後の基準で比較をするなら、
アレロック、タリオン、ジルテック、クラリチン、アレジオン、アレグラの順で即効性があることに
なる。ただ、本当に血中濃度が最高に達する時間と、効き目の速さに相関があるのか
(比例しているのか)どうかに関しては不明。
薬によってどれくらいの血中濃度になったら効くかというしきい値は違うだろうし。

■薬の眠気に関する比較
これは他の抗ヒスタミン薬の比較の記事でも既に行なっているので、該当箇所を引用する。
まず、客観的なデータとしては、薬の添付文書の副作用の項目で、それぞれの薬で眠気の
副作用がどれだけ出たかに関するデータが参考になる。

・第二世代抗ヒスタミン薬の眠気の副作用比較(国内の承認時・使用成績調査合計)
アレロックの副作用 眠気:7.0%(674件/9620例中)
アレグラの副作用 眠気:2.38%(104件/4367例中) ※調査合計値はインタビューフォーム参照
アレジオンの副作用 眠気:1.21%(102件/8443例中)
クラリチンの副作用 眠気:6.35%(105件/1653例中) ※クラリチンは使用成績調査の値の記載なし
ザイザルの副作用 眠気:5.2%(67件/1292例中) ※ザイザルは海外データのみ存在
ジルテックの副作用 眠気:3.26%(233件/7155例中) ※調査合計値はインタビューフォーム参照

これをそのまま眠気の出やすさと解釈するなら、眠気が出やすい順に
アレロック、クラリチン、ザイザル、ジルテック、アレグラ、アレジオン
という順番になる。ただ、下記の通り、実際に「重要な基本的注意」の項目に眠気を催す旨の
記載がないのはクラリチンとアレグラだけだ。

・重要な基本的注意
アレグラ
クラリチン
ザイザル(参考として)

これは、ニセの薬(プラセボ)と比較して眠気が多く起きなかったということを実験できちんと
証明したか否かによる違いによるものと考えられる。
アレグラの眠気に関する実験例
直接ばっちりの記載はないが、ワープロ入力試験と自動車運転能力の試験を行なって、
それぞれ能力の低下が起きていないことが確認されている。
クラリチンの眠気に関する実験例
こちらは「眠気及び運転・機械操作能力に対する影響」の項目で国内と海外の臨床例を
記載。パソコンでの数字入力作業、自動車運転能力の試験、空軍パイロット及び民間
航空会社パイロットを対象にしたフライトシミュレーション試験のいずれでも能力の低下が
起きていないことが確認されている。

上記が「クラリチンはパイロットも眠くならない」と言われている根拠。こうした信頼性のある
データがあるのはアレグラとクラリチンの2つなので、医者も交通関係の業務従事者に対しては
クラリチンかアレグラしか出さないようだ。

クラリチン錠とクラリチンレディタブ錠の違いは何か?

ネット上でこの質問を結構見かけるが、結論としては、有効成分の量は双方ロラタジン10mg
で差がないので効果には差がなく、水なしで飲めるかどうかの違いだけだ。

ヤフー知恵袋「薬の錠剤で、OD錠とレディタブ錠の違いはなんなのでしょうか?」
OD錠とレディタブ錠の違いに関する質問。基本的に同じで、クラリチンレディタブ錠を
医者は処方箋にクラリチンODと書いたりするらしい。

東大宮総合病院「口腔内崩壊錠」
OD錠やレディタブ錠の説明に関しては探した限り、ここの説明が一番わかりやすい。
OD錠はOral Disintegrant(口腔内崩壊錠)の略、
レディタブ錠はRapidly Disintegranting Tablets(速崩錠)の略。
要は口の中に入れるとさっさと壊れるので水なしで飲めるということ。
OD錠やレディタブ錠をなぜ作るのか、に関しては高齢者など飲み込む力が弱い人でも
服用しやすいようにというのが表向きの理由だが、薬の特許切れを前に、先発メーカーが
新たな形態の薬を開発することで、再度特許を取って利益を確保するという意味合いも
一般的にはあるようだ。
薬剤師kittenの雑記帳「口腔内崩壊錠(OD錠)の有用性の裏で。」
ただ、クラリチンに関しては通常の錠剤の販売が2002年でレディタブ錠が2004年となって
いるので、特許先延ばし等の意図はないと推測される。

薬局のオモテとウラ「クラリチンレディタブはアイスが溶けるように素早く溶ける」
薬剤師の方がクラリチンレディタブ錠を飲んだ感想を書いている。
「口に入れたその瞬間に溶け始めるのが分かります。流石に「速溶錠」を謳っているだけの
ことはあります。」 とのこと。ちなみに速溶錠(rapidly melt in mouth、略称RM)という言葉も
存在する。まぁみんな同じような意味。

クラリチンの個人輸入に関して

クラリチンで検索すると、アレグラ、アレロック等、他の薬と比較してやたらと見かけるのが
個人輸入業者のページである。そこで疑問に上がるのが、
・そもそも薬の個人輸入という行為は合法なのか違法なのか?
・輸入した場合の安全性に関してはどうなのか?
・輸入した場合の薬の価格は日本とどう違うのか?
といった観点だ。それぞれの観点について調べてみたい。

■そもそも薬の個人輸入という行為は合法なのか違法なのか?
結論を書くと合法、ただし自己責任ということのようだ。
この件に関して一番信頼性の高い情報源は厚生労働省のページであろう。
厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」

一言で言うと国はかなり推奨していない。重要な部分をまとめると、、
「医薬品等の個人輸入は健康被害などの危険性があります」
日本で流通している医薬品は薬事法に基づいて有効性や安全性の確認がされているが、
海外製のものは日本の基準に基づいていないので、有害な物質が含まれているかも
しれないし、不衛生な場所や方法で作られているかもしれないし、偽造品かもしれないという
リスクを負うことになると。こんな質問と回答もあったりする。

ヤフー知恵袋「花粉症の薬にクラリチンというのがありますが、その有効成分はロラタジンと..」
個人輸入代行のサイトを見てると、ロラタジンという名称の価格がクラリチンの価格の約半値
というのはどうしてかという質問に、薬の製造過程が違い、日本は基準が厳しいので製造に
お金がかかるが、海外は日本より緩いことが多いので日本で禁止されている成分が混入して
いることがあると回答。コストが違うというのはその原因がどこか(人件費や工程費)にあると
いうのは考慮しておくべき点であろう。

日本と海外の医療の比較④世界最高の日本の医療に不満が多い理由
医療関係者が書いている上記記事でも、日本の薬の品質は当たり前のように高いが、
海外だと偽造品がはびこっており、本物を手に入れることに苦労すると言っている。
EDの薬剤を個人輸入して副作用と思われる間質性肺炎で死亡した日本人の事例などは、
ニセの薬であることが原因であったようだ。

海外の薬や健康食品による被害情報は下記。
厚生労働省「健康被害情報・無承認無許可医薬品情報」
厚生労働省「中国製ダイエット用健康食品等関連情報」
医薬品ではないが、ダイエット食品の天天素の被害などはネット上でもかなり有名になった。

では個人輸入が合法なのか違法なのか、そして何が違法になるのかに関しては下記。
厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」
まとめると、
・自分自身で使用する場合には合法。それを他の人に売ったり譲ったりしたら違法。
・医薬品の個人輸入が可能なのは、あくまで外国で受けた薬物治療を継続したり、
海外からの旅行者が常備薬として携行する場合などへの配慮によるもの。
・原則として、地方厚生局への必要書類提出が必要だが、一定の範囲内であれば
書類なしで個人輸入が可能。
この「一定の範囲」が何を指すのかは下記。

厚生労働省「薬監証明の発給を要せず個人輸入可能な医薬品等の数量について」
毒薬、劇薬又は処方せん薬: 用法用量からみて1ヶ月分以内
ということなので、クラリチンに関しては1日1錠x30日=30錠までは薬監証明が不要。

医薬品の個人輸入に関して問題になるかならないかは下記で確認をするのが一番確実。
厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」
関東信越厚生局であれば
電話 : 048-740-0800
クラリチンの個人輸入に関して実際に確認をしてみた。回答としては、
30日以内の分量であれば申請等は不要で輸入は問題ない。
30日以上の分量であれば医師の診断書をもらった上で書類の手続きが必要。
とのこと。

結論としてクラリチンの30日(30錠)以内の個人輸入は合法であることがわかった。
では個人輸入代行業者を使う場合はどうなのか?
厚生労働省「個人輸入代行業の指導・取締り等について」
法律用語満載だが、何が違法なのかをまとめると、
・輸入代行業者が広告を出したら違法(商品一覧の表示も違法の可能性あり)
・輸入代行業者が輸入した商品を「自ら発送」したら違法(輸入代行ではなく輸入行為)
の2点。線引が曖昧なのは、何が広告に該当するのか?という部分で、ここは上記ソース
を直接ご確認いただきたいが、個人輸入代行業者がアフィリエイト依頼などをしてきたら、
その業者はアウトということになる。大手企業が参入できない業態なわけだ。
バイアグラの個人輸入で捕まった業者の話などもあったりする。
バイアグラを中心とした覆面座談会

こうしたグレーな業態なので、海外の会社が輸入代行業をやっているケースも多く見かける。
輸入代行業のサイトを見ていると、30日(30錠)以上の販売をしているサイトがかなりある。
購入の手続きに薬監証明などを通していないだろうに、どうしてこのようなことがまかり通って
いるのか?いろいろ調べると、
Kirklandのクラリチン365錠入りが日本国内へ届かなくなったようです
eBayで鼻炎薬の個人輸入!『クラリチン(ロラタジン)』を注文してみた
このへんの記載を見るに見えてくるのは、
・クラリチンは1日2錠飲む人もいるので60錠入りくらいまでは税関を通過することもあった
・クラリチンの個人輸入は100錠以上などの大量輸入であれば、コストパフォーマンスが
よいので比較的人気があった
などの事情だ。

ネット上でなぜかクラリチンにだけ個人輸入代行業者が目立つ理由が大体見えてきたが、
医者にかかればすぐ処方してもらえる薬(しかも3割負担)で、バイアグラのように医者に
言いにくい類の薬でもあるまいに、そこまでして個人輸入をする必要があるのかと疑問に
思う。医者にかかるのが面倒なら、アレジオン、アレグラ、ジルテックは市販薬で手に入る
わけだし、もう一度書くが、30日分以上の薬監証明無しでの個人輸入は違法だ。

■輸入した場合の安全性に関してはどうなのか?
これに関しては、私が検索した限りでは下記にクラリチンの個人輸入に関する被害報告
はなされていない。
厚生労働省「健康被害情報・無承認無許可医薬品情報」

信頼性に欠けるデータではあるが、下記のような情報もある。
2ch「個人輸入したクラリチンが効きません」
タイ製はだめだとか、どこどこの輸入業者のは効かないとかいろいろ書いてある。
薬の偽物が出回っていたり、製造方法や添加物の保証もない中で、有効性・安全性の
高い薬を手に入れるのはそもそも難しい(もしくはリスキー)のではないかという印象。

■輸入した場合の薬の価格は日本とどう違うのか?
結論として、30日分の購入では処方してもらうものと大差が出ず、メリットは少ない。
30日分の小口販売をしているサイトをいくつか見た限りではクラリチン(ロラタジン)の
価格は2000円前後(1100円台というのもあるにはあったが・・)。
医者にかかってクラリチン30日分をもらう場合は、ざっくり計算して、
診療代1000円+ロラタジン(クラリチンのジェネリック)30日分の薬代1300円で、
2300円くらい(保険3割負担適用時)。

30錠の販売をわざわざ小口販売と記載している業者が多く、100錠以上の扱いのみの
業者が多いことから推測して、基本的に大量購入してこそ価格メリットが出てくるタイプの
薬であると考えられる。もう一度書くが、30日分以上の薬監証明なしでの個人輸入は違法だ。

その他クラリチンに関するネット上の話題

その他気になったことを幾つかピックアップ。

クラリチンに世界初のドライシロップ製剤が登場
2007年12月に世界初のクラリチンドライシロップ製剤が登場した模様。
ドライシロップの特徴は体重による量の調整がしやすいことで、これにより、今まで15歳以上
でないと使用ができなかったのが、3歳以上の小児にも適用ができるようになった。
小児への抗ヒスタミン薬の適用実績としてはアレジオンが多いようだが、その市場に参入
できるようになったということか。
塩野義製薬IR「「クラリチン」小児適応追加承認取得」

ヤフー知恵袋「花粉症の薬、ジルテックとクラリチン。 毎年花粉症で悩みます。」
ジルテックとクラリチンを併用してもいいのかという質問。ジルテックもクラリチンも同じ
第二世代抗ヒスタミン薬で役割は同じだ。回答者によると、
「鼻アレルギー診療ガイドラインでは、重症の花粉症には抗ヒスタミン薬に点鼻ステロイド等を
併用する療法が推奨されています。また経口薬ならばロイコトリエン受容体拮抗薬などが
選択されます。」とのこと。私も今までいくつかの医者にかかったが、抗ヒスタミン薬を2種類
出されたことはなく、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー剤(プランルカストなど)に加え、点鼻ステロイド
剤、ひどい時だけセレスタミン(飲むタイプのステロイド)という組み合わせが多かった。

薬事日報「花粉症の薬剤選択‐6割は医師の判断任せ、指名は3割」
薬関連のニュース記事を配信している薬事日報のニュースで、オンラインでの1031人に対する
調査で、花粉症の薬剤選択を6割のユーザーが医師任せにしているとのこと。
興味深かったのはアンケートを取ったユーザーがどの抗ヒスタミン薬を使っているかの質問で、
アレグラが16.7%、アレロックが9.3%、クラリチンが7.9%という結果に。

クラリチンの別名について
日本だとジェネリックの名前は会社名と有効成分名の構成で命名規則が統一されているの
だが、海外ではジェネリックにいろいろな名前がついているようだ。調べた限りだと、
クラリチン(clarityne) これが元々米国の旧シェリング・プラウ株式会社の開発した薬剤名
ロラタジン(loratadine) これはそもそもクラリチンの成分名
ハロジン(halodin)
ロラクリア(loraclear)
アレクリア(alleclear)
ロルファースト(lorfast)
ロラチン(loratin)
ロラトン(cp-loradine)
といったところ。

ヤフー知恵袋「クラリチンレディタブの妊婦服用について質問。」
クラリチンを妊婦が服用してもいいのかどうかという質問。耳鼻科医の回答がかなり興味深い。
どうやら厚生省が責任回避のために(妊婦を人体実験に使えないから)、どんな薬の添付文書
にも必ず、「妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、治療上の有益性が危険性
を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と、「すべての薬」に書いているとのこと。
つまり日本に妊婦への薬の投与に関する安全基準は存在しない。
存在するのはアメリカとオーストラリア。この辺、わかりやすい記事を書いているのが下記。

耳鼻科医の診療日記「妊娠している方に使える抗アレルギー剤は?」
耳鼻科医の方が妊婦に対する安全性の基準に関して、オーストラリア基準と米国FDA基準を
表にしてまとめている。どちらの基準もAが一番安全でアルファベットが大きくなるほど危険
になっている。基準を読む限り、いずれの基準もC以降は胎児になんらかの影響を引き起こす
可能性が高いので、最低でもB以上のものを選択する必要がある。

抗ヒスタミン薬の中でも眠気等の副作用が少ない第二世代抗ヒスタミン薬から選ぶとすると、
基準Aに該当するものは存在せず、双方B以上のもので、安全性の高い順に挙げると
クラリチン、ジルテックの順。ザイザルはジルテックの眠気成分を取り除いたもの(光学異性体)
なので、理論上は同等以上の安全性がありそうだが、FDA基準ではBに該当するものの、
オーストラリア基準では2013年時点では基準が存在しないという状況。

まとめると、妊婦に対する花粉症の薬(抗ヒスタミン薬)の適用はクラリチンが第一候補になる
というのが上記二人の医師の共通見解になるようだ。

論文「クラリチン(ロラタジン)とクラリネックス(デスロラタジン)などの効果比較実験」 (英文)
上記、要約のみだが、原題は、「The effect of 5-days of cetirizine, desloratadine,
fexofenadine 120 and 180 mg, levocetirizine, loratadine treatment on the histamine-induced
skin reaction and skin blood flow--a randomized, double-blind, placebo controlled trial」
クラリネックスというのはクラリチンの代謝物、つまりは肝臓で分解されてできる物質のこと。
日本未発売で、シェリング・プラウ社がクラリチンの後に作った新薬のこと。新薬だから
さぞかし効くのかとおもいきや、この実験の結果で、効果の高い順に並べると、
ザイザル>ジルテック>アレグラ>クラリチン=クラリネックス
という結果で、値段が高いのにクラリネックスはクラリチンと特に変わらないという結果に。
下記のクラリチンとクラリネックスの血中濃度の時間推移を調べた論文によると、
クラリネックスのほうがクラリチンよりも長くある程度の血中濃度を維持していたので、
効果時間はクラリネックスのほうが長そうだが、そんなの1日あれば十分だし、特にメリット
であるとは思えない。
Pharmacokinetics of loratadine and its active metabolite descarboethoxyloratadine in healthy Chinese subjects(英文)
上がロラタジン(クラリチン)で下がデスロラタジン(クラリネックス)の血中濃度推移。
効果時間の目安になると言われている半減期はロラタジン(クラリチン)が6時間なのに対して、
デスロラタジン(クラリチン)は13.4時間。ちなみにこれは中国人被験者のデータで、白人の場合は
それぞれロラタジンが11時間、デスロラタジンが18時間と報告されているとのこと。
アメリカの厚生省であるFDAのデータも紹介しておく。
CLINICAL PHARMACOLOGY AND BIOPHARMACEUTICS REVIEW(S)(英文、PDF)
ロラタジンは血中濃度半減期が3時間、デスロラタジンは17時間との結果になった。


下記のような記事もある。
わたしんちの医学革命と雑多な情報「ビッグファーマ~米巨大製薬会社のやりたい放題と、その虚構」
このブログで紹介している「The Truth About the Drug Companies」という本の中で、
シェリング・プラウ社のクラリチンは2002年に特許が切れたので、クラリネックスという
ほとんどクラリチンと同じ薬への切り替えを進めている、と述べている。

結論として、ネット上で、クラリネックスはクラリチンの進化系のようなことを言って、個人輸入
を煽っている業者もいるが、上記実験のサマリーを見て分かる通り、特に効果そのものが
アップしているわけではない以上、わざわざ値段が高いだけのクラリネックスを購入する
メリットはないわけだ。それならジルテックよりも効果が高く眠気が少ないザイザルを選べば
いい話なので。