花粉症対策まとめ

このページは花粉症対策に関してまとめた各個別ページヘの目次となっている。

まずはじめに、このサイトのスタンスについて

まずはじめに、このサイトの花粉症対策に関する情報をまとめるにあたってのスタンスを明確にしておく。

・エビデンス(証拠、根拠)重視
花粉症対策に関しては、根拠のあるものからないものまで様々なものがある。
根拠のあるものとしての代表例は医薬品である。これらは花粉症の症状に対する効果の計測に
際して、ニセの薬(プラセボ)との比較を行った上で、統計的にそれらよりも明らかに効果が高いと
証明された上で世に出されているものである。このサイトでは、そうしたエビデンス(証拠、根拠)を
出来る限り収集した上でまとめていくというスタンスを取っている。
逆にエビデンスがないようなニセ科学の類の花粉症グッズ等の情報は、基本的に取り扱うつもりがない。
具体的には二酸化塩素を利用した空間除菌や花粉対策を標榜するネックストラップなどが挙げられる。
(参考)消費者庁「二酸化塩素を利用した空間除菌を標ぼうするグッズ販売業者17社に対する景品表示法に基づく措置命令について」

・サイトの目的は情報収集・情報提供であって物販ではない
そもそも花粉症に関する情報をまとめようと考えたのは、私自身が花粉症に悩まされており、
医者からもらっていた薬が何なのかを調べ始めたというところに端を発する。花粉症の薬には
いろいろなものがあるのだが、それらの違いが何なのかというのは門外漢にはわかりにくい
ところがあり、また、詳細な情報が載っている専門文書にアクセスしようとすると、今度は表現や
概念が難しかったり、文献が英語で書かれていたりと読みこむのが難しいという問題にぶち当たった。
そうした個人的にぶち当たった問題を一つ一つ解明しながら情報をまとめたのがこのサイトである。
各項目について、私自身が集められるだけの情報を集めてまとめているため、一つ一つのページが
かなり長くなってしまっていることが多いが、基本的に各項目の情報はそのページを見れば網羅
できるような作りにしているので、必要に応じて該当箇所やリンクをたどるのがよいであろう。
またこのサイトの目的は物販ではないので、ヨーグルトだの飴だのといった根拠不明瞭な特定の
自称花粉症グッズを求めている方は他のサイトに行くことをおすすめする。また、薬の輸入代行
といったものへの誘導等も行っていない。そもそも薬の輸入は30日分以上は違法であるのだが、
調べた限り30日分だと保険適用による3割負担で医者から処方してもらうのと比べて価格上の
メリットが無いため、60日分やら90日分の輸入代行を違法に行っている業者が大半である。
このサイトでそういった情報を取り扱うつもりはないので、輸入代行情報を求めている方も
別のサイトに行くことをおすすめする。

「徹底的に調査をした上で、一番正しいと思われる情報をそのまま伝える」というのがこのサイトの
大方針であり、特定の商材を売りたいがために、情報を歪めるようなまねは断固として行わない。
例えば大手薬局等では「花粉症の薬おすすめランキング」等のコーナーで、重大な副作用があるため、
長期使用不可で、耳鼻科医なら誰も処方しないであろうナファゾリン等の血管収縮剤入りの点鼻薬が
堂々とおすすめされていて、職業人としての倫理観を疑うような場面に遭遇したが、こういったことは、
私が最も嫌いな行為である。それが、このサイトで物販等への誘導を決して行わない理由である。

花粉症の治療薬の分類

花粉症の治療薬には主要なものとしては第二世代抗ヒスタミン薬とステロイド点鼻薬の2種類がある。
第二世代抗ヒスタミン薬とは、鼻水などのアレルギー反応を引き起こすヒスタミンをブロックする
ことにより花粉症の症状を抑える内服薬で、市販薬に多い第一世代抗ヒスタミン薬と比べて
眠気の副作用が少ないのが特徴である。第二世代抗ヒスタミン薬の中でも眠気と効果の高さが
異なるので、比較の際には「眠気」と「効果」の二軸を中心に見ていくのがわかりやすい。
代表的な薬としては、アレグラ、アレジオン、クラリチン、ザイザルなどがある。

ステロイド点鼻薬とは、体の抗体反応を弱めることにより花粉症の症状を強力に抑える薬である。
ステロイドというと副作用が強いというイメージを持っている人もいると思われるが、飲み薬と
異なり、ほとんど体に吸収されないので、点鼻薬に関しては副作用が少ないとされている。
効果に関しては第二世代抗ヒスタミン薬よりも強力という治験結果が多く出ており、欧米では
花粉症対策としてステロイド点鼻薬が主流となっている。ステロイド点鼻薬同士の比較項目としては
効果の持続時間の違いによる点鼻回数が主たるものであって、効果そのものに関してはいずれの
薬剤も差分が確認されていない。
代表的な薬としては、ナゾネックス、アラミスト、エリザス、フルナーゼなどがある。

基本的には上記2種類を抑えておけば、花粉症の対策に関しては問題がないと思われるが、
一旦ここで網羅的に記載をしておこうと思う。
■花粉症の内服薬
 ▼抗ヒスタミン薬
  ▼第一世代抗ヒスタミン薬
   概要:ヒスタミンをブロックして症状を抑える薬。効果は高いが眠気も強い。古い薬で市販薬に多い
   薬剤例:ポララミン、アネトンアルメディやストナリニSなどほとんどの市販薬
  ▼第二世代抗ヒスタミン薬
   概要:ヒスタミンをブロックして症状を抑える薬で内服薬の主力。眠気が少ない
   薬剤例:アレグラ(アレグラFX)、アレジオン(アレジオン20)、ジルテック(コンタック鼻炎Z、ストナリニZ)、
        クラリチン、ザイザル
 ▼抗ロイコトリエン薬(抗LTs薬)
  概要:ロイコトリエンをブロックして症状を抑える薬で主に鼻づまりに効果があるが効きが遅い
  薬剤例:シングレア・キプレス(モンテルカスト) 、オノン(プランルカスト)
 ▼ステロイド内服薬
  概要:抗体の反応を弱めて症状を抑える薬。効果も高いが副作用も強く長期使用不可
  薬剤例:セレスタミン、プレドニン
 ▼漢方薬
  概要:漢方薬に関してもプラセボ(ニセの薬)と比較して効果が実証されているものがある。
  薬剤例:小青竜湯
 ▼その他抗アレルギー薬(主流ではないので参考情報程度に)
  ▼抗プロスタグランジンD2、トロンボキサンA2薬(抗PGD2、TXA2薬)
   概要:プロスタグランジン、トロンボキサンをブロックして症状を抑える薬で主に鼻づまりに
      効果があるが効きが遅い
   薬剤例:バイナス(ラマトロバン)
  ▼Th2サイトカイン阻害薬
   概要:IgE抗体の生成を抑制することで症状を抑える薬。効きが遅い
   薬剤例:アイピーディ
  ▼ケミカルメディエーター遊離抑制薬
   概要:ヒスタミン等のケミカルメディエーターをそもそも細胞から放出(遊離)されないようにして
      症状を抑える薬で、内服薬では予防薬として位置づけられているが効きが遅いのでまず
      処方されることはないかと
   薬剤例: リザベン、インタール
■花粉症の点鼻薬
 ▼ステロイド点鼻薬
  概要:抗体の反応を弱めて症状を抑える薬。内服薬と異なり薬が体に吸収されず、局所的に
     作用するため副作用が少ない。第二世代抗ヒスタミン薬より強力で眠気の副作用もなく、
     点鼻処方薬の主力となっている
  薬剤例:ナゾネックス、アラミスト、エリザス、フルナーゼ(フルチカゾン)、ナザールAR
 ▼血管収縮剤
  概要:血管を一時的に収縮させて鼻づまりを改善する薬。即効性は高いが長く使うと鼻づまりが
     悪化する重大な副作用があるため長期使用不可。市販薬に多い
  薬剤例:コールタイジン、エージーノーズ等大半の市販点鼻薬(ナザールARを除く)、ナシビン、トーク
 ▼抗ヒスタミン薬
  概要:ヒスタミンをブロックして症状を抑える薬。点鼻薬でも眠気の副作用はある。
     主に一部の市販薬で使用されている
  薬剤例:ザジテンAL点鼻スプレー、パブロン点鼻Z
■花粉症の点眼薬
 ▼抗ヒスタミン薬
  概要:ヒスタミンをブロックして症状を抑える薬。処方薬としてはこちらが主流
  薬剤例:パタノール、リボスチン、ザジテン、アルガード
 ▼ケミカルメディエーター遊離抑制薬
  概要:ヒスタミン等のケミカルメディエーターをそもそも細胞から放出(遊離)されないようにして
     症状を抑える薬。点眼薬としては抗ヒスタミン薬に次いで多く処方されている
  薬剤例:リザベン、インタール
 ▼ステロイド点眼薬
  概要:抗体の反応を弱めて症状を抑える薬。強力ではあるが、白内障、緑内障、感染症になる
     副作用もあるため長期使用はできず、眼科でしか処方されない
  薬剤例:フルオロメトロン、リンデロン

花粉症対策まとめ目次

主要な薬剤の詳細に関しては下記でまとめたので、必要に応じて適宜ご参考いただきたい。

・第二世代抗ヒスタミン薬
花粉症の薬、第二世代抗ヒスタミン薬の強さ・眠気比較まとめ
第二世代抗ヒスタミン薬の主な比較項目である効果の強さと眠気の強さを中心にまとめている。
結論としては、ザイザル、ジルテック、アレロックが効果の強い薬で、アレグラ、クラリチンが弱い薬。
効果の強さと眠気の強さは大体比例しているものの、ジルテックの眠気成分を取り除いたザイザル
という薬が処方では人気。

花粉症の処方薬 ザイザルのまとめ
1日1回の薬。効果の高い薬であるジルテックから眠気成分を取り除いた新薬。

花粉症の処方薬/市販薬 ジルテックのまとめ
1日1回の薬。第二世代抗ヒスタミン薬の中では効果と眠気が強い方の薬。
コンタック鼻炎Z、ストナリニZといった名前で市販されている。

花粉症の処方薬 アレロックのまとめ
1日2回の薬。効果と眠気ともに強い薬で、ジルテックよりもさらに強いと言われている。

花粉症の処方薬/市販薬 アレジオンのまとめ
1日1回の薬。効果の発現が早いのが特徴。市販薬ではアレジオン20(処方薬の同量の有効成分)
という名前で販売されている。

花粉症の処方薬/市販薬 エバステルのまとめ
1日1回の薬。効果の発現は遅いが、一度効き始めると長く安定して効くことが特徴の薬。
エバステルAL(処方薬の半分の有効成分)の名前で市販薬が発売されている。

花粉症の処方薬 タリオンのまとめ
1日2回の薬。効果の発現が早いのが特徴。また、効く効かないの個体差が少ないという特徴もある。

花粉症の処方薬/市販薬 アレグラのまとめ
1日2回の薬。シェアの最も高い薬で、クラリチンとアレグラだけは薬の添付文書という詳細資料の
中にある「重要な基本的注意」の項目に「眠気を催す」等の記載がない。ただし効果自体も
クラリチン同様、第二世代抗ヒスタミン薬の中では最弱の部類に入る。アレグラFXの名前で市販も
されており、2週間分までの購入であれば保険適用後の処方薬より安くなるといった特徴もある。

花粉症の処方薬 クラリチンのまとめ
1日1回の薬。アレグラ同様、薬の添付文書の「重要な基本的注意」の項目に「眠気を催す」等の
記載がないが、効果自体も第二世代抗ヒスタミン薬の中では最弱の部類に入る。パイロットを
対象にフライトシミュレーション試験を行ったところ、眠気による能力低下が確認できなかった
ことで、交通従事者の第一選択薬の一つとなっている。

花粉症の処方薬/市販薬 ザジテンのまとめ
1日2回の薬。第二世代抗ヒスタミン薬の中では古い薬で、他の薬と比べて眠気がひときわ強い
ということで、現在病院で処方されることはまずない。
市販薬としては、ザジテンAL鼻炎カプセル、パブロン鼻炎カプセルZ、コンタック600ファースト
の名前で発売されている。

第二世代抗ヒスタミン薬の効果比較論文の翻訳を試みる
第二世代抗ヒスタミン薬の薬剤同士の効果比較に関して、横断的に比較試験を行った論文が
あったため翻訳を試みた。比較に関してネットに出ている記事の多くは、評判や現場の肌感
といったイマイチ定量性にかけるものも多いので、定量的な観点を補うものとして参考にできる
のではないかと思う。


・ステロイド点鼻薬
花粉症の薬、ステロイド点鼻薬の強さ・特徴比較まとめ
ステロイド点鼻薬に関する特徴比較を中心にまとめている。結論としてはステロイド点鼻薬の
効果の強さそのものには違いがなく、持続時間の違いによる点鼻回数の差があるという結論。

花粉症の点鼻薬 ナゾネックスのまとめ
点鼻回数1日1回の現在シェアが最も高いステロイド点鼻薬。

花粉症の点鼻薬 アラミストのまとめ
点鼻回数1日1回のステロイド点鼻薬で、効果の発現が早く、眼のかゆみ等の症状にも効くのが特徴。

花粉症の点鼻薬 エリザスのまとめ
点鼻回数1日1回の唯一粉末状のステロイド点鼻薬。しみない、液ダレしないなどの特徴がある。

花粉症の点鼻薬 フルナーゼのまとめ
点鼻回数1日2回のステロイド点鼻薬で以前まで主流だった薬。ジェネリック薬品が出ているため、
安く処方してもらうことができるのが特徴。

花粉症の点鼻薬 ナザールARのまとめ
点鼻回数1日2~4回のステロイド点鼻薬で成分名はベクロメタゾンプロピオン酸エステル。
フルナーゼよりさらに古い薬で唯一市販薬として販売されているステロイド点鼻薬。
処方薬としてはリノコートパウダースプレーやアルデシンAQネーザルという名前もあるが、
現在この成分が一番利用されているのはナザールARとしてだろうということでこの名前でまとめた。


・その他
花粉症の市販薬のおすすめまとめ
花粉症の薬は市販薬よりも処方薬のほうが良い薬が多く、値段も安く済むのだが、市販薬で
済ませたいという需要もあるようなので、市販薬で選ぶ際の参考にまとめを書いた。
結論としては、効果重視ならコンタック鼻炎ZまたはストナリニZとナザールARの組み合わせで、
眠気のなさ重視ならアレグラFXとナザールARの組み合わせになる。

花粉症の民間療法 小青竜湯のまとめ
花粉症の民間療法関連の記事は今のところこちらにまとめている。漢方薬である小青竜湯は
プラセボ(ニセの薬)と比較して効果があると「実証」されているので、選択肢にはなりうるかと。
また、厚生労働省が民間療法に関して患者の感想をまとめた記事なども紹介している。

花粉症の処方薬(ステロイド) セレスタミンのまとめ
花粉症の症状が特に重い時の頓服薬として出されるセレスタミンに関する情報をまとめている。
この薬は第一世代抗ヒスタミン薬とステロイドを合わせた薬で、よく効くが強い眠気の副作用が
あり、またステロイド内服薬は副腎皮質のステロイドホルモン生成機能を退化させてしまうため
長期服用ができないというのが特徴になっている。

花粉症の薬を病院で処方してもらうといくら掛かるのか計算してみる
病院で薬を処方してもらうのと、市販薬を買うのではどのくらい料金に差が出るのかというのは
気になるところではあるが、計算が複雑でわかりにくいところでもある。今回、私が実際にもらった
耳鼻科・薬局での領収書をベースとして、各薬剤を処方してもらった際にいくら掛かるのかについて
シミュレーションをしている。結論としては14日分の処方だと市販薬を買うのと大きな差は出ないが、
30日分を処方してもらった場合には処方薬のほうが圧倒的に安くなるという結論になった。

花粉症の薬、ロイコトリエン拮抗薬の強さ・特徴比較まとめ
アレルギーの薬として、オノン(プランルカスト)やシングレア(キプレス、モンテルカスト)などを
処方されることもあるかと思うので、特徴をまとめた。オノンとシングレアに効果の差はなく、
1日2回か1日1回かというのが主な違い。また、この薬は即効性はなく、あくまで予防薬である。

花粉症の根本治療薬、シダトレン スギ花粉舌下液のまとめ
花粉症の根治の方法として注目されているシダトレンによる舌下減感作療法について
情報をまとめた。2年以上毎日薬の服用が必要な、非常に患者の負担が大きい方法であり、
完遂が難しいという大きなデメリットがある。なお、完遂できた人の中でも実際に大幅改善が
なされるのは3割程度で、3割は効果が無いというのが現状である。費用は1年で45000円程度。

シダトレンを使った舌下減感作療法を受けられる東京の病院一覧
現在、シダトレンによる舌下減感作療法を受けられる病院一覧の公的リストが存在しないため、
東京だけはなんとか手作業で、ネット上で確認できた病院のリストをまとめた。
なお、シダトレンの発売が2014年10月なので、これからさらに対象病院が増える可能性は
大いにある。

花粉症の目薬・点眼薬の強さ・特徴比較まとめ
花粉症の点眼薬に関して、強さや特徴に関してここにまとめた。季節性アレルギー性結膜炎に
対する目薬は、大きく分けてステロイド点眼薬、抗ヒスタミン点眼薬、ケミカルメディエーター
遊離抑制点眼薬の3種類があり、挙げた順に効果も高いのだが、ステロイド点眼薬に関しては、
定期チェックが必要な大きな副作用があり、長期使用ができないため、主力の薬としては
パタノールやリボスチン等の抗ヒスタミン点眼薬、次いでケミカルメディエーター遊離抑制点眼薬の
リザベンやインタールがあるという内容。